交通事故によるむち打ちの治療
むち打ちとは?
むちうちとは、交通事故の衝撃で首が鞭のようにしなり、首周辺の靱帯や軟部組織などを損傷する怪我です。むちうちの怪我を負ってしまうと、首や腰の痛み、倦怠感、麻痺手足のしびれ、歩行障害のような様々な症状があらわれます。
交通事故直後の体は興奮状態にあるため、アドレナリンやβエンドルフィンという物質が体内に分泌されます。
アドレナリンやβエンドルフィンには、鎮痛作用があるため、怪我により痛みを感じにくい状態なのです。したがって、体の興奮状態が落ち着いた交通事故の数日後に、怪我の症状があらわれます。
そのため、交通事故後に怪我の症状があらわれていなくても、交通事故から数日の間は体の状態に注意してください。
実はむち打ちと一言でいっても、いくつかの型分けがされており、上記の症状も、この類型に応じて発症する症状が異なってきます。
むち打ちのタイプ
頚椎捻挫型
これが、むち打ちの中でも最も多いタイプです。
交通事故等の衝撃によって首が激しく揺さぶられた結果、首の筋肉や靭帯が傷つき、「捻挫」となったもので、診断名は頚椎捻挫・外傷性頚部症候群になります。
主な症状としては、首や肩のだるさ、重み、痛み等があります。肩や首が痛いというほか寝違えたような首の痛み、肩こりに似た症状が出ます。
バレー・ルー症候群型
衝撃が首の骨を通り越して、その中を通る自律神経が傷ついた場合に発症します。
主な症状としては眩暈や耳鳴り、息苦しさ、頭痛、後頭部、うなじ付近の痛み、耳詰まり、食べ物が飲み込みにくくなる。
腕の痺れ、注意力の散漫治療法は他のむちうち症に準じることが多いですが、必要に応じて神経ブロック注射をうつ、抗交感神経薬の服用が考えられます。
神経根症状型
神経の中でも、脊髄から出る根元部分である神経根がダメージを受けてしまうケースです。
ダメージを受けた神経根の場所に応じて、身体の部位にしびれや、力が入れにくいといった症状が現れます。
首の痛み、腕の知覚異常、しびれ、脱力症状、顔の違和感、後頭部や顔面の痛み病名にある『神経根』とは脊髄の知覚神経、運動神経が集まる場所です。椎間孔と呼ばれる椎骨の間にあるすき間から腕の方向へ伸びている神経が、上下の頚椎に挟まれて、痛みやしびれなどの症状を引き起こしています。
首を動かしたり、せきやくしゃみをしたりすると、痛みを強く感じる特徴があります。 レントゲンやMRI検査では頚椎を撮影し、椎間板や頚椎に所見がある場合には手術を行う可能性もあります。
脊髄症状型
神経だけでなく、直接脊髄にまでダメージが及んだケースで脊髄の損傷より身体にまひが残り、障害となってしまうこともありえます。
頚椎には、頚椎を支える役割を担う『脊柱管』という管があり、この管の中を脊髄が通っています。脊髄が傷つくと、足に伸びている神経が損傷、足のしびれや歩行障害などを引き起こします。
その他に頭痛、めまい、吐き気、集中力・思考力の低下、視力障害、尿や便が出にくくなる排尿障害もあります。
症状が神経根型に似ているので整形外科を選んでしまう人が多いですが、MRIで脊髄損傷は確認を取ることが可能です。
また、脊髄に損傷が認められた場合、専門外来である脊髄外来へ転院が必要となります。
脳脊髄液(のうせきずいえき)減少症
症状としては、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴り、背中の痛みなどがあります。
脳を保護する層である、くも膜や硬膜に何らかの原因で穴があき、そこから脳を安定させるための脳髄液が漏れてしまう症状です。
通常、脳は衝撃を受けないよう、膜の中で水にプカプカと浮いているような状態です。
しかし、交通事故などで脳を保護する膜に傷がついてしまい、その中の水が漏れてしまうことで、頭痛や吐き気などが引き起こされてしまいます。
通常治療を続けても効果が上がらない場合は、低髄液圧症候群の疑いもあります。
水分をとって安静にしていれば髄圧は戻ることも多いのですが、それでも戻らない場合は医師にご相談ください。
整骨院で対応可能なむちうちの症状
- 脊髄損傷のないもの(脊髄損傷で自然緩解が期待できるものは対応可能)
- 脳脊髄液減少症で自然緩解が期待できるもの
- 筋・筋膜の損傷
- 軟部組織の損傷
- 骨格系のサブラクセーション
- 神経損傷の回復可能なもの
- 骨折脱臼の後療法(リハビリ)
- 自律神経障害
交通事故によるむちうち症の治療法
むちうちなど軟部組織の損傷の場合、当院で受けられる治療としては、筋肉治療、矯正治療、鍼治療、お灸治療、電気治療、温熱療法、寒冷療法です。
筋肉治療は徒手的に筋肉にアプローチし、血流を改善させ、損傷組織の回復を促します。
矯正治療は骨のズレを矯正する治療方法です。
交通事故の衝撃によってズレた関節を徒手的に矯正します。
圧迫されていた神経や血管が開放され、むちうちの症状が緩和されます。
牽引は徒手的に行います。
人の手で行うため、その人の症状に合わせた力加減や角度などで行えるというメリットがあります。
はりと灸を使った施術は、はり師と灸師のみが行うことができます。
鍼や灸には、筋肉のトリガーポイントやツボに刺激を与えることで、自己治癒能力を促す効果があります。
体に鍼を刺すため内部に直接刺激が伝わるため効果があらわれやすいといわれています。
また即効性もあり、その後の状態も緩和されやすいという効果があり自律神経のバランスを整える効果も認められています。
電気療法は、身体に電流を流す治療法で、低周波・中周波・高周波のうち適したものを使います。身体に電流を流すと、筋肉が伸び縮し、ポンプ作用で血行を促すことができます。
温熱療法とは、首や肩の筋肉を温め、痛みの原因となる物質を放散させる施術方法です。
温熱療法の1つである「ホットパック」は、皮膚や末梢血管、筋組織に対して作用し、血管の拡張と血行を促すことができます。
それにより、鎮痛効果や筋肉の緊張を軽減させることが可能です。
損傷部位の炎症徴候(熱感、腫れなど)がきつい場合はアイシングを施します。
末梢血管を収縮させ腫れを引かしズキズキ感を抑制します。
当院での治療
当院では「むち打ち」でズレが生じてしまった骨格を治すため矯正治療を施術して、早期回復をめざします。
頸部のズレや歪みを取り除くことで筋緊張が緩みやすくなるために、マッサージを受けた後の効果に違いがでます。
また交通事故によって自律神経の乱れが生じている場合は鍼灸治療を用いて自律神経のバランスを整えて、自然治癒力を高めていきます。
矯正治療、鍼灸治療を併用することで、治療効果を向上させて回復をたかめるようにしていきます。